遊心逍遥記

遊び心で本の森を逍遥し、その時の思いを残しておこうと始めました。

葉室麟

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『洛中洛外をゆく』  葉室 麟   角川文庫

2017年12月に葉室麟が急逝、享年66歳。これから先の活躍をさらに期待していた読者の一人としては痛恨の思いだった。翌年(2018)6月にKKベストセラーズから葉室麟&洛中洛外編集部として、『洛中洛外をゆく。』が発刊された。 今年(2022)2月に、角川文庫…

『約束』  葉室 麟   文春文庫

まるで記念写真のような表紙。この絵解きから始めよう。 ここに登場しているのはこの小説の主な登場人物である。中段の向かって左側は一見で推測できる。そう、西郷隆盛。右側は・・・・「西郷さァ、西郷さァと子供のころに約束しもうしたなあ、国のために命を捨…

『決戦! 関ヶ原2』 葉室・吉川・東郷・箕輪・宮本・天野・冲方  講談社

決戦シリーズの第6弾で、7人の作家による短編競作集である。奥書を見ると「過ぎたるもの」「戦さ神」「蜻蛉切」「秀秋の戯」「燃ゆる病葉」の5篇は岐阜新聞・信濃毎日新聞に2016年7月より随時連載が開始され、「ダミアン長政」は「小説現代」2017年7月号…

『暁天の星』   葉室 麟   PHP

2017年12月23日に著者は逝去した。「11月の初旬に病状が悪化し原稿を書くことができなくなるまで、何十冊もの資料を病室に持ち込み執筆を続けていました」(p265)と言う。先日未完に終わった『星と龍』についての読後印象をご紹介した。一方、本書は、月刊…

『決戦! 新選組』 葉室麟・門井慶喜・小松エメル・土橋章宏・天野純希・木下昌輝  講談社

戦国時代を題材にした「決戦!」シリーズとは別次元の「決戦!」シリーズが発刊されている。『決戦!三國志』『決戦!忠臣蔵』に続き、三冊目がこれである。2017年5月に単行本が出ている。幕末動乱期を新選組の立場からとらえるのは時代を多面的にとらえる上…

『曙光を旅する』  葉室 麟  朝日新聞出版

本書は、「旅に出ようと思った。遠隔地ではない。今まで生きてきた時間の中で通り過ぎてきた場所への旅だ」という書き出しの文から始まる葉室麟流の歴史紀行文を中軸としている。 出版は2018年11月。著者葉室麟は2017年12月に逝去。奥書によれば、歴史紀行文…

『星と龍』 葉室 麟  朝日新聞出版

奥書を見ると、初出は「週刊朝日」の連載小説で、2017年4月14日号~11月24日号に掲載されたと記されている。著者葉室麟は2017年12月に逝去した。この単行本が出版されたのが2019年11月。巻末に「(未完)」の文字が記されている。葉室麟の最後の小説であり絶…

『平成26年度 60 代表作時代小説  時を超える熱き思い、絆と志』 日本文藝家協会編 光文社

私が「代表作時代小説」を読むのはこれがまだ2冊目なのだが、このシリーズ自体はこれで60巻目を迎えるという。ここに選ばれている短編は、「前年に発売された文芸誌に掲載された新作の短編から選んでいます」(「まえがき」)という。文芸誌に掲載された新…

『平成22年度 代表作時代小説 凜とした生きざま、惚れ惚れと』 日本文藝家協会編  光文社

単行本や文庫本以外で、葉室麟の作品を掲載しているものがあるのかどうか検索していて、この代表作時代小説のシリーズに作品が収録されていることを知った。手始めに手にしたのがこれ。「まえがき」の冒頭に、このシリーズは「半世紀に余る歴史の重みを持つ…

『洛中洛外をゆく。』 葉室麟&洛中洛外編集部 KKベストセラーズ

2017年12月に葉室麟は病気のため急逝した。享年66歳。本書に登場する海北友松のように、まさにここから先10年はさらに心の裡に秘めた思いに生き抜く人の「美」を様々に作品化して欲しかったのに・・・・・。しかし、葉室麟はすべての義務から解放されて鬼籍に入っ…

『影ぞ恋しき』 葉室 麟  文藝春秋

この小説は、雨宮蔵人を主人公とするシリーズ『いのちなりけり』、『花や散るらん』に続く第三作。一応、三部作として完結編に相当する。 2016年6月から2017年7月にかけて全国4地域の新聞に掲載され、時差を持ち、他地域の2紙にも連載された。2017年12月に逝…

『蝶のゆくへ』  葉室 麟   集英社

奥書を読むと、初出は「小説すばる」(2016年8月号~2017年8月号)への連載。著者はこの作品を発表した2017年12月に逝去された。 単行本が上梓されたのは、2018年8月。著者最晩年の一冊といえる。 この小説、なかなかおもしろい構成になっている。全体は7章…

『青嵐の坂』  葉室 麟  角川書店

奥書を読むと、「小説 野生時代」の2016年4月号~2017年1月号に連載され、著者が逝去した翌年となる2018年5月に単行本として発行されたことがわかる。遅咲きの作家が晩年に書き終えた数冊の小説の中の一冊。 5年前に城下で起きた「お狐火事」を大きな原因と…

『天翔ける』  葉室 麟  角川書店

松平春嶽は、賢候として天下に知られ、鼻が優美で顔立ちが端整であることから鋭鼻公というあだ名があったという。本名は慶永(よしなが)、11歳で元服するまでの幼名は錦之丞。文政11年(1828)、徳川御三卿の田安家に生まれた。八代将軍徳川吉宗の息子を祖…

『随筆集 柚子は九年で』 葉室 麟  文春文庫

この随筆集は2012年に単行本として出版され、短編小説「夏芝居」は当初から収録されていた。そこに3本の随筆が加えられ、2014年3月に文庫本化されたもである。 著者にとって初めての随筆集。随筆集のタイトル「柚子は九年で」は単行本にするに当たって、改め…

『雨と詩人と落花と』 葉室 麟  徳間書店

本書を手に取って表紙を眺めても、本を開けるまでは、なぜか随筆集と思い込んでいた。3ページ目を開いて小説なのだと気づく。なぜ随筆集と思い込んでいたのか? このタイトルのイメージから勝手な先入観を抱いてしまったようだ。 ならば、このタイトルは何…

『古都再見』 葉室 麟  新潮社

葉室麟は2017年12月23日死去した。享年66歳。これからの更なる活躍を期待していた「遅咲きの作家」がまた一人没してしまった。嗚呼・・・・・・ 合掌。 本書は、2017年6月20日に出版されている。奥書を見ると、初出は週刊新潮に連載されたエッセイを1冊の単行本に…

『河のほとりで』  葉室 麟   文春文庫

文庫本『随筆集 柚子は九年で』をだいぶ前に購入しておきながら、この『河のほとりで』を先に読んでしまった。こちらに随筆集という付記がないのは、内容が三部構成になっていて、随筆以外に書評が一つのセクションとして収められているからのようだ。 最初…

『玄鳥さりて』 葉室 麟  新潮社

著者は、ひとつの和歌を基軸に据えて物語を紡ぎ出していくというスタイルの小説を幾つも創作している。この作品もその系統に入るように思う。 吾が背子と二人し居れば山高み 里には月は照らずともよし 『万葉集』に収録されているこの歌(巻六-1039)がこの…

『津軽双花』  葉室 麟   講談社

2016年7月に発行されたこの単行本には、タイトルとなっている『津軽双花』の他に、『決戦! ****』という作家競作シリーズに著者が発表している3つの短編『鳳凰記』、『孤狼なり』、『鷹、翔ける』が併載されている。決戦!シリーズの読後印象記は各々…

『草雲雀』 葉室 麟  実業之日本社

葉室麟が得意とする心情交感の世界が巧みに描き出されているという思いを強くする一冊である。 まず主な登場人物を挙げておく。 栗屋清吾 媛野藩6万2000石馬廻り役150石栗屋家三男 28歳で部屋住みの身の上 片山流若杉道場で随一の使い手。秘技<磯之波>を伝授…

『日本人の肖像』 葉室麟  聞き手・矢部明洋  講談社

葉室麟作品群の背後にいる作家葉室麟の肉声、歴史の見方や考え方に触れることができる本。作家葉室麟が逝去した現在、彼の考え方の視点や思考について知ることが出来る貴重な1冊だと思う。 本書が編まれたソースは、毎日新聞(西部版)に月1回連載された「…

『草笛物語』 葉室 麟  祥伝社

『蜩の記』から始まった羽根藩シリーズの第5弾になる。戸田秋谷が切腹して果てた時点から16年を経た後、このストーリーが展開されていく。 中心となるのは江戸にある羽根藩中屋敷の長屋に住む13歳の赤座颯太。颯太は2年前から世子鍋千代の小姓として仕えて…

『墨龍賦』 葉室 麟  PHP

2017年4月、京都国立博物館開館120年記念特別展覧会「海北友松」が開催された。本書は同年2月に単行本として第1版第1刷が発行されている。振り返ってみると、奇しくも同じ年に本書が先行して出版されていた。この単行本の表紙には、京都の建仁寺蔵の「雲龍…

『大獄 西郷青嵐賦』 葉室 麟  文藝春秋

2017年12月23日葉室麟さんが逝去されたと、翌24日の新聞記事で読み愕然とした。 まだまだ今後も様々な作品を読めることを期待していたのに・・・・。無念という想い。 愛読している作家がまた一人、黄泉の国に旅立ってしまった。謹んで、合掌。 著者没後に読んだ…

『嵯峨野花譜』  葉室 麟   文藝春秋

文政12年(1830)に華道未生流二代目の不濁斎広甫は嵯峨野にある大覚寺の花務職に任じられた。大覚寺は広甫を花務に任じて華道を興隆させようとしたそうである。それは「嵯峨上皇が大沢池の菊之島に生えていた菊花を取り、瓶にさした故事に由来するものだっ…

『潮騒はるか』 葉室 麟  幻冬舎

『風かおる』(2015年9月刊)という小説に、佐久良亮・菜摘という医者夫妻が江戸時代幕末期を背景に爽やかに登場した。この時、佐久良亮は長崎に赴きオランダ医学を修得中であり、菜摘は黒田藩の城下、博多で鍼灸医として開業していた。ストーリーの中心舞台…

『風のかたみ』  葉室 麟   朝日新聞出版

この小説は九州、豊後の安見藩城下を舞台とする。元は藩の馬廻役で現在は城下で町医となっている漢方医桑山昌軒の娘伊都子が主人公。伊都子も医者となり、今年23歳になる。その伊都子が夏の盛りのころに、藩の目付方、椎野吉左衛門の屋敷に呼び出されるとこ…

『峠しぐれ』 葉室 麟  双葉社

岡野藩の領内で、隣国結城藩との境に弁天峠がある。その峠は朝方、霧に白く覆われて道も定かでなくなるところから、朝霧峠とも呼ばれる。峠を西に一町ほど下がったところに昔、峠での遭難除けを祈念して建てられた辨財天を祀る瓦葺の小さな弁天堂があるので…

『決戦! 忠臣蔵』 葉室・朝井・夢枕・長浦・梶・諸田・山本  講談社

講談社から戦国時代を舞台にした「決戦!」シリーズが既刊として第5弾まで出版されている。同社から、「決戦!」は戦国時代だけじゃないという観点から、別に発刊された1冊がこれである。既に『決戦! 三國志』が発刊されているのを、この本の裏表紙から知…