月村了衛
強烈な読後印象は、国家の壮大な欺瞞に尽きると感じた。 その欺瞞を象徴する言葉が、タイトルになっている「地上の楽園」である。 奥書を読むと、本書は、「中央公論」(2024年4月号~2025年4月号)に連載された後、加筆・修正され、単行本が2025年10月に刊…
「半暮刻」という言葉を本書で知った。「はんぐれどき」と読むそうだ。 手許の2冊の大辞典を引いたがこの言葉は載っていない。著者の造語なのだろうか。 本作の末尾は次の一文で終わる。 「夕暮れが闇に呑まれる半暮刻に、波が嗤うようにざわめき始めた」(p…
新聞の出版広告で本書のタイトルを見て関心を抱いた。 かなり前に著者の『土漠の花』を読んでいた。それも関心の一因。一番の関心は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)からの脱出(脱北)をテーマとしている点にあった。 どのようにフィクションとして扱う…
本書の奥書を読むと、当初雑誌「パピルス」(2014年2月~8月)に連載され、加筆、修正して、単行本が2014年9月に刊行された。 雑誌「パピルス」は、ホームページに「まったく新しい”ペーパー・カルチャー・エンターテインメント”の誕生」を標榜している。本…
中世より千年の都・京都の中心部にあり、伝統仏教最大宗派の一つである包括宗教法人『錦応山燈念寺派』。燈念寺派の中枢組織である宗務総合庁がこの小説の舞台。著者はここに燈念寺派という宗派をフィクションとして設定した。その中枢組織に属する幹部僧侶…
東京地検特捜部は、裏口入学に関わる贈賄容疑で統和医科大学の強制捜査を行った。関係書類を根こそぎ押収していったのだが、その中に入試関連の書類がすべて押収されてしまっていた。その書類は、裏口入学問題よりも大学の存続を脅かしかねない資料だった。…