遊心逍遥記

遊び心で本の森を逍遥し、その時の思いを残しておこうと始めました。

警察小説

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『帰去来』  大沢在昌  朝日新聞出版

タイム・マシンで別の時代に飛び込むとか、次元の境界に遭遇して過去の時代に紛れ込んでしまうという類いのストーリーは結構ある。 一方で、我々の棲むこの地球という世界とパラレルにほぼ類似の世界がもう一つ存在し、われわれと同じかあるいは近似の生活を…

『漂砂の塔 THE ISLE OF PLACER』 大沢在昌  集英社

警視庁組織犯罪対策第二課に所属する石上が主人公。彼の祖母がロシア人なので、スラブ人の血がクオーター混じっていて、顔立ちも外見は白人に近い。幼少の頃から祖母よりロシア語を学び、大学では中国語を専攻した。この特異な能力が石上を困難な状況に直面…

『海と月の迷路』  大沢在昌  毎日新聞社

長崎県の端島は通称「軍艦島」と呼ばれる。1974年(昭和49)に閉山となったが、明治から昭和にかけては海底炭鉱の拠点だった。今年2015年、世界文化遺産の登録をめぐり様々な論議があった。結果的に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の…

『撃つ薔薇 AD2023 涼子』 大沢在昌  光文社文庫

本書のカバーは、2001年10月に初版1刷として刊行されたもの。雑誌に連載され、1999年に単行本の刊行を経て文庫化。2016年1月には文庫の新装版が刊行された。 この作品は、もともと、ドリーム・キャスト用ゲームソフト「UNDER COVER」の小説版として構想され…

『雨の狩人』  大沢在昌  幻冬舎

本書も単行本で読んだ。 単行本は2014年7月に刊行された。 2016年8月にノベルス(上下巻)となり、 2017年8月に文庫本(上下巻)となった。 新宿区役所通りのすぐ裏にあるオレンヂタウンが舞台。オレンヂタウンには五坪もない小さな店がまるで長屋のようにぎ…

『黒の狩人』 上・下  大沢在昌  幻冬舎

本書は、上・下巻で単行本が2008年9月に刊行された。 2009年5月頃に、アマゾンに投稿した原稿が残っていたので、「読書録整理函」の一環として掲載しておきたい。 当初は単行本で読んだのだが、この狩人シリーズを文庫本で購入したので、冒頭には文庫版の表…

『暗約領域 新宿鮫 ⅩⅠ』  大沢在昌  光文社

新宿鮫シリーズの第11弾! 「小説宝石」(2018年4月号~2019年10月号) に連載後、加筆修正し、2019年11月に単行本で刊行された。はや1年が経過している。 第10弾『絆回廊』が2011年6月に単行本で刊行されたので、久々にシリーズの続きが出たことになる。 本作…

新宿鮫シリーズ   大沢在昌   光文社

著者大沢在昌さんの作品との出逢いは、『新宿鮫』だった。 読書リストをパソコンに残していたが、当初のファイルを消失。2009年11月から、読了本の題名等の「読後メモ」を再開した。 記録再開の最初が、海堂尊著『医学のたまご』。 そして、本書は記録再開後…

『警視庁公安部・片野坂彰 国境の銃弾』  濱嘉之  文春文庫

警視庁公安部を題材にした青山望シリーズが完結し、新たに片野坂彰が登場した。 この第1作は文庫書き下ろしで、2019年8月に刊行された。今のところ年1冊の発刊ペースである。 この新シリーズス第1作で、片野坂たちが会話の中で青山たちに触れている。そこ…

『ヒトイチ 内部告発 警視庁人事一課監察係』 濱 嘉之  講談社文庫

「ヒトイチ」シリーズの第3弾! 文庫書き下ろしで、2016年5月に刊行された。 本書も短編連作集として3つのストーリーが収録されている。章毎に読後印象を交えてご紹介したい。 < 第1章 身代わり出頭 > 西早稲田の横断歩道でひき逃げ事故が発生。 被害者は…

『ヒトイチ 画像解析 警視庁人事一課監察係』 濱 嘉之  講談社文庫

「ヒトイチ」シリーズの第2弾! 文庫書き下ろしで、2015年11月に刊行された。 < 第一章 拳銃自殺 > < 第二章 痴漢警部補の沈黙 > < 第三章 マタハラの黒幕 > の三章構成で、各章の末尾には、榎本博史と婚約者・菜々子の私生活でのエピソードが小咄風に挿入…

『ヒトイチ 警視庁人事一課監察係』  濱 嘉之  講談社文庫

警視庁内の身内捜査シリーズの始まり。文庫書き下ろしで2015年5月に刊行された。 現時点では第3作まで刊行されている。 人事一課は警視庁警務部に属し、通称ヒトイチ。警視庁の上層部である警部以上の人事を担当する部署である。監察とは、「警察組織内の不…

『電子の標的 警視庁 特別捜査官・藤江康央』 濱 嘉之  講談社文庫

濱嘉之さんのデビュー作品は『警視庁情報官』。情報捜査官はシリーズ化され、2019年の『ノースブリザード』まで続いている。 それに対し、本作は2009年9月に新潮社より刊行された。加筆、修正の上、2013年1月に講談社文庫で刊行された。こちらは単発の作品に…

『鬼手 世田谷駐在刑事・小林健』 濱 嘉之  講談社文庫

おもしろい設定の警察小説。 まずその理由を3つあげておこう。1.駐在所が世田谷区多摩川に隣接する地域で都内有数の高級住宅街にあること。 「駐在所」という語句から思い描くイメージとはかけ離れている。2.駐在する警察官は小林健。警部補、41歳。警視庁…

『警視庁情報官 ノースブリザード』  濱 嘉之  講談社文庫

警視庁情報官シリーズの第7弾! 文庫書下ろしで、2019年7月に刊行された。 インテリジェンス活動には3つの方法がある。その活動の基本中の基本はヒューミントだと著者は言う。ヒューミントとは「人間を介した情報収集のこと」であり、「重要な情報に接触で…

『警視庁情報官 ゴーストマネー』  濱 嘉之  講談社文庫

前作『サイバージハード』で、黒田純一は万世橋署署長という立場だった。その黒田が、なんと海外研修の名のもとに3年以上にわたってアメリカをはじめ、各国を転々とし、現地状況を肌で感じるという経験をし、日本に帰国してきた。その直後から、このストーリ…

『警視庁情報官 サイバージハード』  濱 嘉之  講談社文庫

警視庁情報官シリーズの第5弾! 文庫書き下ろしで、2014年1月に刊行された。 < プロローグ > の冒頭は、警視庁万世橋署長に異動した黒田純一が、休日の早朝、新聞に目を通しながらテレビの情報番組をかけている場面。そこに緊急ニュースが割り込んできた。…

『警視庁情報官 ブラックドナー』   濱 嘉之   講談社文庫

警視庁情報官シリーズの第4弾! 文庫書下ろしで、2012年10月に刊行された。 タイトルをみれば、警察小説というジャンルを前提にまずなにがしかの連想が湧き起こる。ブラックといえば当然「闇の世界」「闇社会」となる。「ドナー」といえば第一羲は寄付をす…

『警視庁情報官 トリックスター』  濱 嘉之  講談社文庫

トリックスターという言葉を辞書で引くと、手品師という意味とペテン師・詐欺師という意味が記されている。ここのタイトルは詐欺師を意味している。 警視庁情報官シリーズの第3弾! 文庫書下ろしで、2011年11月に刊行された。 プロローグは、マレーシアの大…

『警視庁情報官 ハニートラップ』 濱 嘉之  講談社文庫

警視庁情報官シリーズ第2弾! 2009(平成21)年4月に単行本で『公安特命捜査 警視庁情報官2』が刊行され、2011年4月に改題し文庫本が刊行された。 黒田純一は平成19年秋に小笠原の警察署長として着任する。1年半の勤務が予定されていたが、赴任して10ヵ月…

『警視庁情報官 シークレット・オフィサー』  濱 嘉之  講談社文庫

警視庁公安部・青山望シリーズを最初に読み始めたのだが、著者の作品としてはこちらの方が先に刊行され始めたシリーズ。 2007年12月に『警視庁情報官』というタイトルで単行本が刊行された。著者の作家デビュー作。2010年11月に標題の通りに改題され、文庫が…

『最恐組織 警視庁公安部・青山望』  濱 嘉之  文春文庫

青山望シリーズの第12弾! 文庫書下ろしで、2018年12月に刊行された。 本作がこのシリーズの最終巻となる。なぜなら、ここで取り扱われる事件を最後に、同期4人のカルテットが組めなくなるというエンディングを迎えるに到るから。お楽しみいただきたい。 最…

『爆裂通貨 警視庁公安部・青山望』  濱 嘉之  文春文庫

青山望シリーズの第11弾! 文庫書下ろしで、2018年4月に刊行された。 同期カルテットの警察組織におけるポジションは前作に引き続き、同じポジションで始まる。それぞれが、継続して管理官の職位で縦横に協力しつつ事件に取り組んでいる。 プロローグは10月3…

『一網打尽 警視庁公安部・青山望』  濱 嘉之  文春文庫

青山望シリーズの第10弾! 文庫書下ろしで、2017年12月に刊行された。 このシリーズのおもしろいところは、異なる部署に所属し、それぞれの部署で活躍する同期が、青山望を中軸にして事件解決のために結集するところにある。通称が同期カルテット。刑事警察…

『国家簒奪 警視庁公安部・青山望』  濱 嘉之  文春文庫

青山望シリーズの第9弾! 文庫書下ろしで、2017年1月に刊行された。 同期カルテットのそれぞれは前作と同じポジションで任務に携わっている。 プロローグは覚醒剤取引の場面から始まる。 北九州のある海岸で花沢組若頭・大場がコリアンマフィア・朴直煕の使…

『頂上決戦 警視庁公安部・青山望』  濱 嘉之  文春文庫

青山望シリーズの第7弾! 文庫書下ろしで、2016年1月に刊行された。 警視庁組織図における同期カルテットのポジションは青山・大和田・龍について変化していない。ただ、前作の最終段階で藤中克典が出向先での異動として、警察庁刑事局捜査第一課分析官の肩…

『巨悪利権 警視庁公安部・青山望』 濱 嘉之  文春文庫

青山望シリーズの第6弾! 同期カルテットそれぞれの警察組織上のポジションは前作『濁流資金』と同じ。文庫書き下ろしで、2015年10月に刊行された。 プロローグは、大分県由布市にある金鱗湖東詰のベンチ脇で発生した事件から始まる。 被害者は前歴者で身元…

『濁流資金 警視庁公安部・青山望』 濱 嘉之  文春文庫

青山望シリーズの第5弾! 文庫書下ろしで、2014年9月に刊行された。 この第5作では、「同期カルテット」が前作の所轄警察署の課長職から、再び本庁サイドに異動している。それぞれのポジションをまず記しておこう。 青山 望 公安部公安総務課第七担当管理…

『機密漏洩 警視庁公安部・青山望』 濱 嘉之  文春文庫

著者の作品を読むのはこれが初めて。警察小説で公安・警備ものは今まで殆ど読んでいない。刑事部に公安が絡んでくるくらいの範囲で読む程度だった。この小説を読んで、この分野も読書対象に加えることにした。 刑事部ものとは違う切り口の面白さが加わりそう…

『報復連鎖 警視庁公安部・青山望』  濱 嘉之  文春文庫

警視庁公安部・青山望シリーズの第3弾! 文庫書き下しで 2013年3月に出版された。 < プロローグ >は「北洋商事株式会社 代表取締役 専務」の肩書を持つ古澤健治が、光栄丸の船長、漁師の陣内則幸の自宅を訪れるところから始まる。 古澤は陣内と、一本釣りの…